実は大学入試は「軟化」、当時の日東駒専はいまのMARCH
全貌がまだまだ見えぬ「大学入試改革」。そして、私立大学入試レベルを難化させた「定員超過厳格化」。こんな話を耳にすると、わが子が将来迎える大学入試は「狭き門」になってしまうのではないかと不安にかられてしまう保護者が大勢いるに違いない。
しかし、中高教員や予備校講師の話を聞く限り、先述した「定員超過厳格化」によりここ最近の私大レベルはやや難化したものの、それでもいまの「親世代」が大学入試に挑んでいた頃と比較すればずいぶん間口が広くなっているといえるだろう。
某私立中高に長年勤める進路指導部長がこんな話をしてくれた。
「大学入試の応募人数や競争率のピークはいまから25年前~30年前。団塊ジュニアと呼ばれる世代がこぞって大学入試を目指した時期です。日東駒専(日本大学・東洋大学・駒澤大学・専修大学)でもかなりの狭き門でした。わたしが思うのは、当時の日東駒専は、いまのMARCH(明治大学・青山学院大学・立教大学・中央大学・法政大学)のレベルに相当するだろうということ。つまり、長期的に見ると大学自体はかなり入りやすくなっているのです」
▼「大学入試が心配」で、付属校を選択するのはやめよ
ほかの教育関係者からも似たような話をたびたび耳にする。
大学入試ピーク時と比較すると、いまの大学入試レベルが易化している理由はざっくり次の2点に分類できる。
1:少子化が進行しているにもかかわらず、大学入学定員数は増えている。
2:地方から首都圏の大学入試に挑む受験生が減少している。
ここでわたしが言わんとしていることは、昨今の大学入試情勢ばかりに目を奪われてしまってはいけないということだ。つまり、子の大学入試に対してそこまで大きな不安を保護者が抱く必要はないのではないかということだ。
だからこそ、「大学入試が心配だから」という理由だけで、大学付属校を即座に選択しようとするのはやめたほうがよい。わたしは大学付属校を手放しで礼賛することはしないし、かといって否定もしない。なぜなら、子どもひとりひとりの特性次第で「その子にとっての良い学校」は変わってくるからだ。この記事がわが子の進路をじっくりと考える契機になれば幸いである。