中学受験のシーズンまで残り4カ月。しかし、この時期、夏休みに勉強した子供ほど「どうせ自分なんて病」を発症し、スランプに陥りやすいのだという。スランプの原因は何だろうか。脱出のカギは、親が子供に向き合い、迅速な対処をできるかどうか。わが子を合格に導く声かけとはどんなものか――。

デキる子ほど9月以降に「どうせ自分なんて病」になる

「わたし、何をやっても高得点が取れない気がするんですよね」

ある日、わたしが代表を務める中学受験塾に通う小学6年生の女の子がつぶやいた。こうしたネガティブな発言は毎年9月頃から頻繁に聞かれるようになる「恒例」のもの。「何をやっても、ぼくはうまくいかないんです」「わたし、バカだから同じクラスの○○さんには絶対にかなわない」……。

わたしはこれをひそかに「どうせ自分なんて病」と名付けている。

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子供たちに共通するのは「真面目な子」であるという点だ。この夏は朝から晩まで受験勉強に懸命に励んできているし、客観的に見ても悪い成績状況ではない。むしろ夏の学習で確かな手応えを感じた子たちばかりである。

これが自負心の裏返しである「謙遜」ならよい。あるいは、悪い成績結果をいつか取ってしまうことに備えての「事前の言い訳」なら、感心はしないが、まだ理解できる。

ところが、そういう子たちは本当に意気消沈しているようなのだ。自信を持って入試に臨めるはずの子供たちは、なぜ「どうせ自分なんて病」を発症してしまうのだろうか。

▼「理想」と「現実」のギャップに苦しむ受験生

この点について、保護者からの悩み相談も多い。わたしはこの2年間、あるウェブサイトで「中学受験お悩み相談」に回答しているが、秋に入ると「子のモチベーションが下がってしまった」という相談がぐんと増えるのだ。

この夏、受験勉強に精励し、熟達の実感を得たはずの真面目な子たちは、なぜ9月になった途端に自信を喪失してしまうのだろうか。

それは、「これだけがんばったのだから好成績になっているはずだ」という理想と現実の乖離に苦しんでしまうからだ。