わが子に「失敗させたくない」と思い込む親が増えている。教育・子育てアドバイザーの鳥居りんこ氏は「わが子が何か失敗すれば、そのまま負け組になってしまうと考える親たちは『もっとウチの子に対するケアをして』とささいなことでもクレームを入れるなどして教員を疲弊させている」という――。
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学校が心底恐れる、保護者からの「朝の電話」実例集

筆者は、私立の中高一貫校を中心に学校取材を長く続けている。そうした中で最近、小学校、中学校、高校の「保育園化」の傾向を痛切に感じている。しかもこれは、面倒見のよさを売りにする中高一貫校の人気ぶりと比例している。

「面倒見のよさ」とは、1時間目の前に「0時間目」の授業をしたり、放課後に補習を実施したりして、生徒に学習習慣を身につけさせる指導を指す。この「面倒見のよさ」を曲解する保護者が増殖しているのだ。そのために生じている現象が「保育園化」である。

いったい、どういうことか。先日、ある私立中学の教頭先生に聞いた話をいくつか紹介しよう。

平日の朝は、どこの学校にも保護者から電話やメールで連絡がくるが、ある朝、次のような保護者の声があったそうだ。

【保護者からの電話その1】

「中間試験の結果、ウチの子悪かったですよね? それで、毎日、補習されてるじゃないですか?(ウチの子が)もう、補習続きで行きたくないって言うんですよ……」

筆者解説:補習をすることで落ちこぼれを作らないというこの学校方針を気に入って子どもを入学させた保護者だが、考えが変わったらしい。
【保護者からの電話その2】

「もうすぐ、校外学習があって、現地集合じゃないですか。ウチの子、1人で行けないんですけど、学校ではどう対応してくれるんですか?」

筆者解説:典型的な過保護の保護者。
【保護者からの電話その3】

中3男子の父親から「担任はいるかい?」と言われ、電話に出た教頭先生が「あいにく現在、離席しています」と返答すると「校内には来てるのかい?」とさらに聞かれたので「どうかされましたか?」と言うと、「ウチの子が友達から悪口を言われた……らしいんだよね」と。

筆者解説:当事者である子どもの話はあまり聞かず、子ども同士のトラブルを知ってヒステリーを起こしている妻の話を鵜呑みして、一直線に学校へクレームを入れる保護者。
【保護者からの電話その4】

「先生、聞いてくれます? ウチの子(中3女子)ったら、夜は10時には寝ちゃうので、ろくすっぽ勉強もしないし、成績は下がっちゃうし。なんとかしてください!」

筆者解説:わが子の成績のこと以外に興味がなく、教員に対して学校外でも働くことを強要する保護者。
【保護者からの電話その5~7】(同じ案件が3件)

「ウチの子、朝起きないんですよ~」

筆者解説:子どもを起床させるのは学校の仕事だとでも思っている保護者。
【保護者からの電話その8~9】(同じ案件が2件)

「体調不良で、本日、学校をお休みします」

筆者解説:欠席のお知らせ。これは問題ない。