「非行少年」が生まれる原因は、どこにあるのか。立命館大学の宮口幸治教授は「35人のクラスのうち、下から5人の子どもたちは、かつて『知的障害』とされていた時代があった。現代では『境界知能』とも呼ばれるが支援の対象にはなりにくく、そのため不登校や非行に走ってしまうことがある」という――。

※本稿は、宮口幸治『ケーキの切れない非行少年たち』(新潮新書)の一部を再編集したものです。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/A‐Digit)

“少年院の子”と“学校で困っている子”の共通点

私はもともと児童精神科医で、いまは大学で教えておりますが、並行して幼稚園、小学校、中学校で学校コンサルテーションや教育相談・発達相談なども行っております。そこでケースとして挙がってくる子どもたちの状態は、一筋縄ではいきません。発達や学習の遅れ、発達障害、自傷行為、粗暴行為、いじめ、不登校、非行、親の不適切養育などの課題が入り混じっており、複雑な様相を呈しています。

例えば、次のような子どもの振る舞いや特徴は、相談ケースとしてよく挙がってきます。

・感情コントロールが苦手ですぐにカッとなる
・人とのコミュニケーションがうまくいかない
・集団行動ができない
・忘れ物が多い
・集中できない
・勉強のやる気がない
・やりたくないことをしない
・嘘をつく
・人のせいにする
・じっと座っていられない
・身体の使い方が不器用
・自信がない
・先生の注意を聞けない
・その場に応じた対応ができない
・嫌なことから逃げる
・漢字がなかなか覚えられない
・計算が苦手

などです。

これらを見て、あることに気づきました。私は以前、医療少年院に務めていたのですが、そこに収監される少年たちの学校時代の様子と、学校で困っている少年たちの様子が、極めて似ているのです。