今回の参院選で唯一の勝者となった「れいわ新選組」
今回の参院選は、勝者なき戦いだった。自民党は3年前より獲得議席をわずかに増やしたが、安倍晋三首相が執念を燃やす改憲の発議に必要な参院での「3分の2」を失った。野党・立憲民主党は議席を伸ばしたとはいえ、17議席では野党第1党の迫力には欠ける。
そんな中で唯一の勝者をあげるとすれば、山本太郎氏が率いる「れいわ新選組」だろう。当初、泡沫政党扱いをされていたがが比例代表で2議席を獲得した。今後、さらなる飛躍を遂げることはあるのだろうか。
「小泉フィーバー」や「民主党政権」を超える盛り上がり
「おはようございます。元気やな。もうすぐ(電車の)始発が出ますよ皆さん」
参院選の大勢が判明した7月22日午前4時半過ぎ、山本氏は底抜けに明るい笑顔で記者団に声をかけた。公職選挙法などで政党要件を持たない「れいわ」は、新聞、テレビなどでは「その他大勢」を意味する「諸派」扱いをされ、ほとんど報道されなかった。新聞、テレビだけを情報源にしていた人は、存在すら知らなかったかもしれない。
しかしツイッターなどのSNSを介して「れいわ現象」は急速に広がった。選挙戦最終日の20日夕刻から東京・新宿駅西口で行われた街頭演説は、SNSで知って集まった人で埋め尽くされ異様な盛り上がりとなった。
長年、選挙取材をしてきた全国紙記者は「1989年の参院選での社会党・土井たか子委員長、『郵政選挙』と言われた2005年衆院選での小泉純一郎首相、09年の民主党ブームなどよりも、はるかに大きなうねりだった」と証言する。それぐらいの「事件」だったという。