7月4日公示された参院選は、残念ながら盛り上がりに欠ける展開になっている。ネットでは山本太郎氏の率いる政治団体「れいわ新選組」が一部で話題だが、これは話題に乏しいことの裏返しだ。「自公過半数」は既定路線。残るポイントは、参院選として最低の投票率を更新するかどうかだ――。
政治団体「れいわ新選組」の山本太郎代表=2019年7月5日(写真=アフロ)

「安倍1強」が続くが、直ちに憲法改正が進むわけでもない

7月6日の在京各紙は一斉に参院選の序盤情勢を伝えた。

朝日新聞は「自公、改選過半数の勢い 改憲勢力2/3は微妙」、毎日新聞は「改憲 3分の2割れも 与党、改選過半数は確保」、読売新聞は「参院選 自民が優位」、産経新聞が「与党の改選過半数確実 改憲勢力維持か」。そして日経新聞、東京新聞は共同通信社の調査に基づいた「自公、改選過半数の勢い 改憲勢力2/3うかがう」という記事を1面で掲載している。

多少の誤差はあるが、各紙とも自民、公明の与党が過半数を軽くクリアして勝利すると予想している。そして、日本維新の会を含めた改憲勢力が3分の2を取れるかどうかは微妙な情勢だ。当然ながら安倍晋三首相は続投。「安倍1強」態勢が続くが、直ちに憲法改正が進むわけでもない。要するに、ドラマチックな展開にはならないと予想されるのだ。

5割強の「投票先未決定」は、多くが投票に行かない

この情勢調査で注目すべき点がある。態度未決定の有権者の数が異様に多いのだ。4、5の両日に行った共同通信の調査では「投票先を未決定」とした人は選挙区で54.5%、比例代表で47.8%。朝日新聞の調査では選挙区で5割、比例区で4割が投票行動を明らかにしていないという。序盤とはいえ「5割」という数字は多い。

「投票先未決定」の人たちの中には、その後、意中の政党を決めて投票する人もいるが、多くは最終的に投票に行かない。従って「未決定」が多いということは、投票率が低くなることを予告しているのだ。

前回2016年の参院選の投票率は、54.70%だった。「昭和」のころは7割を超えることも珍しくなかったが最近は50%台の「低値安定」が続く。最低は1995年の44.52%。そして、今回はその最低記録を下回る心配が出てきている。これは、民主主義の危機と言っても言い過ぎではない。