選挙報道は「面倒で、しかも数字が取れない」

参院選が盛り上がらず投票率が下がりそうな原因となっているものがもう一つある。これは、恐らく一番大きな原因だ。

2012年に安倍晋三首相が首相に返り咲いてから、自民党はさまざまな形で報道機関に「働き掛け」を行っている。記憶に新しいのは2014年の衆院選を前に、自民党がNHKと民放5社に「公平な報道を求める」という要請文を出したことだ。この時は「事実上の圧力」と問題視されたことがあった。

その結果、テレビ局は、生ニュースを扱う報道番組を除き、極端に選挙報道を抑制するようになった。

少しでもエッジを効かせた番組をつくろうとすると、クレームがくる心配がある。かといって主要政党を公平に扱い、クレームをつけられないように配慮しすぎると、間延びしておもしろくなくなる。視聴率も取れない。ならば、選挙を扱うのは最小限にしようという判断が働いたと言われる。

自民党の古手秘書「報道時間が短くなればそれでいい」

その後、安倍政権のもとで参院選、衆院選が行われてきたが、テレビ局の報道姿勢はおおむね同じだ。極端な圧力を受けたというわけではなくても「面倒で、しかも数字が取れない」選挙報道を敬遠するのが定着しているのだ。

テレビの放送時間が短くなれば当然、国民の関心が低くなり、投票率も下がる。悪循環だ。

そして、最後に指摘しておかなければならないことがある。低投票率になって有利なのは、やはり自民、公明の与党なのだ。強固な後援会組織と業界団体の支援を受ける自民党。そして創価学会の全面的な支援のある公明党。両党は浮動票を頼りにしないでも選挙戦を戦える。参院選での低関心は、そのまま与党有利の材料を補強することになっている。

自民党の古手秘書はこうささやく。

「報道機関への働き掛けによって自民党に有利な報道をしてもらいたいとは最初から思っていない。報道時間が短くなればそれでいい。今回も、その点では思惑通りだ」