佐藤栄作首相は「頭の片隅にない」と言いながら解散した
野党側は26日の国会会期末に向けて内閣不信任決議案の提出を検討し始めた。決議案を出すとハプニング的に解散になってしまうのを恐れて提出を躊躇していただけに、遅まきながらファイティングポーズを取り始めたようにもみえる。しかし実体は「解散が消えたから、不信任決議案を出しても大丈夫」という発想のようだ。
その本音が見え透いているから、自民党の二階俊博幹事長の周辺からは「会期末に野党が不信任決議案を出したら絶対に解散する」という脅しともとれるメッセージが発信されている。
安倍氏の大叔父にあたる佐藤栄作氏が首相在任中、解散は「頭の片隅にない」と言いながら解散したことがあった。後に佐藤氏は記者団に「頭の片隅にはなかったが、真ん中にあった」とうそぶいたという。この50年以上前のエピソードが自民党側から野党に向かって盛んに流されてもいる。
現状ではさすがに安倍氏が電撃的に衆院解散する選択肢は残っていないだろう。それでも自民党側からの一連のささやきは、解散恐怖症の野党をおじけづかせるには十分の効果があるのだ。
(写真=時事通信フォト)