コンサルタントとしてキャリアをスタートし、いつかは起業するか経営に関与したいと考える若者は多い。だが、コンサルタントでの経験は、経営に必要なさまざまな要素のごく一部にしかならないのだ。
コンサル経由、経営者行き?
前回は、コンサルタントに求められる「正しく質問する力」について論じました。自分の専門性から答えを断じるのではなく、相手から引き出す力です。今回は少し視点を変え、コンサルタントのキャリアについて考えてみましょう。「コンサル経由、経営者行き」という若者が多く持っているキャリア感についてです。
「将来、会社を経営したいと思っています。なので、まず第一歩としてコンサルタントになりたいのです」
採用面接をしていると、こういう学生はよくいます。かくいう私も、大学を出てコンサルティング会社に入社する際に
「何年後かには、会社を経営することに関与したいです」
と語っていたものです。自分の中では、「コンサルタントの延長線上に経営者」という生き方がイメージされていたのです。
ですが、経営コンサルタントと経営者は、別物です。まったく別物と言ってもいいくらいです。コンサルタントの延長線上に経営者というキャリアの考え方は正しくありません。「経営コンサルは経営のプロ」という考え方も間違っています。