上腕二頭筋と三頭筋のバランス感覚

もうひとつ、筋トレをすることで対人関係における「バランス感覚」が養われることもコミュニケーション能力の向上につながっていると感じています。

どういうことでしょう。今から解説していくのでお付き合いくださいませ。

コミュニケーションの達人は常に「相手がどう思うか」「自分が発した言葉が他人にどういう印象を与えるか」をイメージできています。自分だけ、あるいは、相手だけの立場からしか物事を捉えられなければ共感は得られません。人によって価値観や状況は違うので「人間は金だ」「人間は愛だ」の両方ともに正しいのです。

立川談慶『老後は非マジメのすすめ』(春陽堂書店)

筋肉において、この二律背反のバランス感覚を体現するのが「上腕二頭筋と上腕三頭筋」です。いわゆる「力こぶ」は上腕二頭筋が収縮することでできます。その真裏では上腕三頭筋が伸長しているのです。一方が収縮するから他方が伸長でき、その逆もまた成立する。まるで「性格正反対だけど仲の良い兄弟」みたいですな。

私がこうしたバランス感覚の大切さに気付いたのは、「シックスパック」を目指して夢中で腹筋のトレーニングに励んでいた若い方を見てからのことです。その彼は腹筋をいじめぬく一方で、背筋のトレーニングをおろそかにしていたから、腰をやられてしまいました。以後、相反する2つの筋肉は同時に鍛えるべきだとつくづく感じています。

世の中は裏と表があるから上手くいきます。一流ほどこのことを理解し、反対側への目線を持っているものです。毒舌で名を馳せた師匠の談志にしても、まるでバランスを取るかのように、地方公演から帰ってきてすぐに御礼状を書くマメさを持っていました。

実際、私が朝ジムに行くと、経営者を多く見かけます。資産である時間を筋トレに費やし、顔を合わせると爽やかに挨拶をしてジムを後にする。ますます私は筋トレをすることが、コミュニケーションの達人への近道だという思いを強めているところです。

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