太田さんは、施設を選ぶときは施設長と面会し、昼食をとる際に入居者を“観察”してほしいとアドバイスする。

「施設長の理念や思いが、その施設の運営に大きな影響をもたらしています。できれば事前にアポをとっておき、施設長に会って話を聞きましょう。現地へ見学に行くときは、昼食を試食することがおすすめです。施設の入居者同士のコミュニティの雰囲気もわかるし、味付けもチェックできますから」

田中さんが着目するのも、施設の理念だ。

「その施設がどんなサービスを提供していて、マネジメントがどうなっているかを聞いたときに、担当者がキチンと説明できるかどうかが大事です。付加価値部分ばかりを強調する施設には気を付けたほうがいい。相手の答えを聞きながら、自分が介護を受けるようになったときにどう対応してくれるかを想像しましょう」

高齢者施設にもさまざまなタイプがあり、実を言うと現時点で供給量は足りている。焦って選ぶ時代ではないから、消費者視点でしっかりと選択したい。

田中 元
介護福祉ジャーナリスト
群馬県生まれ。高齢者の自立・介護をテーマに取材。著書に『安心で納得できる老後の住まい・施設の選び方』(自由国民社)など。
 

太田差惠子
介護・暮らしジャーナリスト
京都市生まれ。『高齢者施設 お金・選び方・入居の流れがわかる本』(翔泳社)など著書多数。