介護付き有料老人ホームでも80~90%は日中のみ
料金メニューを見ると高い施設から安い施設までさまざま。金額を左右するのは「場所の利便性とサービスの内容」(太田さん)だ。
「一般的な施設で一時金がゼロなら、毎月の利用料は25万円以上。本人が元気でサービスが不要なら、月々20万~60万円の間くらいと見てください」と太田さん。良質なサービスを保つには手厚い人員配置が必要で、その分だけコストがかさむ。
「特に看護師が24時間常駐だと料金が高くなります。老人ホームというからには看護師が常駐しているのだろうと思い込んでいる方が多いのですが、実際には介護付き有料老人ホームでも、80~90%の施設が日中のみの在勤です。もちろん、看護師がいる時間が長いほど、料金は高くなります」(太田さん)
入居者へのサービスには食事の提供も含まれる。施設内の食堂で食事をとり、その分は実費で払うのが一般的だが、人によってはそこでストレスを感じる場合がある。「富裕層の人たちが入居している施設だと、食事の好みが庶民とはかけ離れているとか、食堂へ行くにもおしゃれが欠かせないということがあるようです。そこへ一般の人が紛れ込んだら、落ち着かないですよね」(太田さん)。
プラスαのサービスとして田中さんと太田さんがともに注目するのは、施設に「療養室(退院後の看護ルーム)」があるかどうか。
「今は入院期間が短めになっていますから、仮に病院で手術をしても退院するのが早い。でも、退院直後から1人で暮らすのは無理があるというときに、施設内に独立した療養室があり、看護師が様子を見に来てくれたり、薬の管理のサポートをしてくれたり退院後のケアをしてくれると安心です」(太田さん)
仕事の打ち合わせが必要な人や、金融機関の担当者が訪ねてくるような人には、施設内に打ち合わせスペースがあると便利だろう。スポーツクラブやシアタールーム、図書室、お茶室などが付いている施設もある。これらは必要か、ただの贅沢か。
「設備が充実していれば当然、料金も高めになります。しかし足腰が弱れば、趣味のために外出するのも億劫になります。そういうとき、こうした設備があれば趣味を諦めずに済むわけです。その場合は意味のある設備といえます」(田中さん)