※本稿は、「プレジデント」(2018年9月3日号)の掲載記事を再編集したものです。
パソコンなら下手な字を書かずにすむ
遺言書には「公正証書遺言(以下、「公正」)」と「自筆証書遺言(以下、「自筆」)」の2つがある。「公正」とは、遺言者が公証役場の公証人に遺言内容を伝え、証書を作成する方式である。書き方に不備がなく、家裁による検認(生前に遺言書の存在・内容を相続人に知らせたり、偽造・変造を防止する手続き)が不要。改ざんの心配がなく、原本を公証役場に保管するために紛失の心配もない、といいことずくめだが、作成に時間がかかり、費用が発生する。証人2名の立ち会いが必要で、存在や内容を秘密にできないデメリットもある。
一方、「自筆」のほうは、遺言者が自ら書くのでいつでも作成でき、費用もかからない。書き直しや修正も何度でもできる。その半面、書き方を間違えると無効になるおそれがある。検認も必要だ。
「公正」と「自筆」のどちらを選ぶかは遺言者本人の意思次第だが、今回の民法改正で変わるのは「自筆」のほう。その作成の際の条件が緩和されることは、注目されていい。
「今までは、遺言の本文・財産目録とすべてを遺言者本人の直筆で書かないとダメでしたが、財産目録に関してはパソコンで作っていいことになった。パソコンで作成した書面の署名捺印は、遺言者本人がしなくてはいけませんが、無効になる遺言書は減少するでしょう」と、弁護士の河野祥多氏は分析する。
長年、相続に関する相談に乗り、多数の著書を持つ高橋安志税理士は改正歓迎派だ。
「財産をたくさんお持ちの方の場合、手書きだと分量も多く、しばしばミスしてまた書き直すので時間がかかります」
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