▼owned media 法則5
「北欧、暮らしの道具店」クラシコム

背景をコンテンツ化して商品の購入を促す

今やインターネットは重要な販路のひとつだが、だからこそ、情報過多の中でいかに存在感を発揮できるかが肝となる。どれだけ優れた商品が並んでいても、その魅力が伝わらなければ購買に繋がらないのは言わずもがなだ。

クラシコムが運営する「北欧、暮らしの道具店」は、食器や日用雑貨といった北欧発のプロダクトを中心に扱うECサイト。注目すべきは、ショッピングページでは伝わりきらない商品の情報を、コラムや特集記事で補完している点だ。

「読みもの検索」のコマンドも用意され、商品の魅力を伝える一助に。https://hokuohkurashi.com

「ECサイトで重要なのは、何げなく訪れた“見込み客”に対し、また訪れたくなる仕掛けがあるかどうかです。その点、『北欧、暮らしの道具店』は、商品の使い方や購入後の生活が具体的にイメージしやすい。これによって、偶然サイトを訪れたユーザーであっても、このジャンルや商品に好感を持つ“態度変容”を起こしやすくなります」

いかに態度変容を起こさせるか。これはオウンドメディアの至上命題というべきポイントだろう。商品ページを開くと、スタッフが実際に使った感想や、使っている場面を思い起こさせる写真や文章も掲載。さらに、プラスアルファのコンテンツが充実しているのも成功の秘訣だという。

「バイヤーの買い付け日記や、北欧の現地生活レポートなど、商品にまつわることをさまざまな手法で伝える工夫がされています。“北欧”というキーワードから、サイトを訪れる客は女性が多い。その嗜好をしっかりと読み解いているのがわかります」

最終的には商品購入に繋げるため、まずはファンを増やすことが大事なのだ。

宗像 淳(むなかた・すなお)
イノーバ社長
東京大学文学部卒業、ペンシルべニア大学ウォートン校MBA。富士通、楽天、ネクスパス(現トーチライト)を経て、2011年イノーバ設立。オウンドメディアを活用したマーケティングを数多く手掛ける。
(写真=iStock.com)
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