大成功したビジネスモデルに、ネット販売を加味しただけ

これらの提案は、興味を示されたものもありますが、現時点でいずれも実施されていません。ショールーミング対策のカギは、いかに顧客ロイヤルティを高め顧客を囲い込むかにあります。もちろん、このことは十分に理解されていると思いますが、ヤマダ電機のショールーミング対策は、規模の経済を利用してポイント制と価格で(実店舗の)競合と差をつけるという大成功したビジネスモデルに、ネット販売を少し加味しただけのように見えます。

現在、ヤマダ電機は膨大な顧客データを利用して、住宅関連産業、ファミリーサポート、保険などの事業の多角化を進めています。しかし、いずれの分野もすでに強力なライバル企業がひしめいています。

中核ビジネスの家電販売では、ネットを自由に使いこなす世代が徐々に消費者の主流になっていくことを考えると、このような対応では不十分と言わざるをえません。

岡部康弘(おかべ・やすひろ)
獨協大学経済学部教授
英国カーディフ大学で博士号取得。International Journal of Human Resource Management やAsian Business&Managementなどの学術誌に、仕事に関する価値観の日英比較の研究論文がある。
(構成=増田忠英 写真=AFLO)
【関連記事】
米国トイザらス倒産とアマゾンの深い関係
1万円でバカ売れ 神戸発バレエ靴の戦略
「超ニッチ」な専門家に仕事が集まる理由
アマゾンに対抗できる"唯一の企業"の名前
リアル店舗がネット通販に勝つ唯一の方法