短期の満足度ではなく、長期の満足度の高さが重要

顧客満足(CS)を高めることは、多くの企業にとって重要な活動の1つとなっています。ここでは、日本生産性本部サービス産業生産性協議会が実施している「JCSI(日本版顧客満足度指数:Japanese Customer Satisfaction Index)」の9年間にわたる調査からうかがえる、CSの高い企業や業種の特徴を紹介します。

JCSIは、サービス産業の競争力向上を目的として、2009年度より毎年実施されてきました。17年度は約30業種・400企業を対象とし、12万人以上のサービス利用者から回答を得ています。利用者には、満足か不満足かだけでなく、満足/不満足を構成する原因(顧客期待、知覚品質、知覚価値)や、満足/不満足の結果による行動(推奨意向、ロイヤルティ)についても聞いています。そのため、満足度の高低だけでなく、その理由も把握できるようになっています。

CSには、大別して2つの測定方法があります。1つは短期的な満足度を測定する方法です。その代表が、サービスを利用した直後の顧客に満足したかどうかを聞く方法です。この場合、特定の日や時間帯のサービスに対する満足度がわかります。もう1つは、JCSIのように長期的な満足度を測定する方法です。JCSIは、対象となるサービスを期間中に一定回数以上利用した顧客だけをサンプルにしています。そのため、1度利用したときにたまたまサービスが悪かったために満足度が下がるようなことがなくなり、その企業の業績と連動した、より安定した評価が得やすくなります。

また、CS調査の多くが特定の業種のみを対象に行われているのに対して、JCSIはすべてのサービス産業を同じ物差しで測ります。そのため、業種ごとの満足度を横並びで比較できるという特徴があります。

JCSIのこれまでの結果を見ると、満足度の高い企業や業界には1つの傾向があります。それは、顧客のターゲットが絞られているということです。

多様な価値観の顧客を取り込もうとすればするほど、満足していない顧客も取り込むことになるため、平均的な満足度は自然と低下していきます。