実店舗で現物を確認した後、ネット通販で買ってしまう

ネット通販が普及した現在、実店舗を展開する企業にとって課題となっているのが「ショールーミング対策」です。ショールーミングとは、消費者が実店舗で商品の現物を確認した後、価格比較サイトなどで安価なネットショップを探して購入することで、実店舗がネット通販業者のショールームのように利用されてしまうことです。実店舗を展開する企業は、ショールーミングに対してどのような対策を打てばよいでしょうか。

ヤマダ電機は主力の家電販売事業で苦戦している。(AFLO=写真)

アーカンソー大学のエリン・ジョディ・ベルクが2015年に発表した論文に、ショールーミング対策として「オムニチャネルの構築」「ソーシャルメディア戦略の立案」「実店舗独自の提供」「実店舗での体験」の大切さが説かれています。

オムニチャネルとは、あらゆるチャネルを使って顧客との接点を持つことです。現在は、実店舗のほかにもスマートフォンなどのモバイル端末、パソコン、テレビ、ダイレクトメールなど多様な購買チャネルがあります。これらがシームレスにつながることにより、顧客がいつでもどこでも買い物ができる環境を構築する必要があります。

ソーシャルメディア戦略もなくてはならないものです。顧客は商品を購入する際、個人のブログやSNSなどから得られる豊富な情報を意思決定の判断基準にすることが多いからです。ソーシャルメディアは単に広告を送る手段ではありません。特定の個人に宛てた、はっきりとした意図を持った、役に立つものでなければなりません。

実店舗は、オンラインでは提供できない独自の価値を提供できます。顧客とスタッフと双方向の対話ができ、個人的な気持ちのつながりを持つという実店舗ならではの体験ができます。これらにより、実店舗は人を引き付ける場所となります。

そして、それぞれの要素は相互補完作用を持つため、一体として導入すべきだとベルクは述べています。