内向型の人間はどのように事業を起こせばいいのか。マーケティング会社代表のモラ・アーロンズ=ミリは、外で積極的に人と交流をせずとも、ネットで専門性の高い情報を発信し、ニッチな領域での強みを持つべきだと言う。オバマ元大統領やビル・ゲイツ財団を顧客に持つ一方で、自身を「引きこもり」と語るミリの実体験を紹介しよう――。(第2回)

※本稿は、モラ・アーロンズ=ミリ『内向型のままでも成功できる仕事術』(宮垣明子訳、辰巳出版)の一部を再編集したものです。

女性視点の「政治ブログ」が全てを変えた

2005年1月、わたしはワシントンで政治コンサルタントをしていた。3年間の民主党のインターネット・マーケティングとジョン・ケリー候補の大統領選という第一線での活動を終えたばかりだった。政治の世界と、(主に男性の)エゴにすっかり参っていた。当時のわたしは、目先しか見ない意見や無知でどっちつかずの議論の中でじっと座り、怒りをたぎらせていた(「健康保険なんかで票が左右される意味がわからないな」一字一句このままの意見が出たのだ! 怒鳴り散らしたかった! だがたいてい、そういう場にいる独身女性はわたし一人だった……)。意見を言うこともできず、イライラがたまり、落ち着かなかった。

モラ・アーロンズ=ミリ

しかし、ブログをする女性のための初のコミュニティである「ブログハー」がすべてを変えてくれた。ブログハーでは初の政治ブログを書くことで、わたしは女性目線の意見をシェアする場所を見つけたのだ――どれだけ女性票が大事になってきても、当時も今もベルトウェイには女性の視点が欠けている。

サウスカロライナ州にあるタウンホールからYouTubeで配信された大統領予備選挙の会見で、アダム・ナゴルニーと並んで最前列に座ったことは忘れられない。わたしはずっとこう思っていた。「わたしはただのブロガー。だけど、ニューヨークタイムズの政治記者と同じように取材できる」

「ニッチ」を選ぶことが重要

当時は知らなかったが、政治を扱う女性ブロガーがまだ少なかったからこそ、そんな大きな席をつかむことができたのだった。つまり、ポイントはニッチさだ。ブログで人気や名声が高まったわたしのもとには、よく政治家やマーケティングの識者、コミュニケーション学の専門家たちから、ブログと市民ジャーナリズムについて説明してほしいなどという依頼が舞いこむようになった。それに、ブログはどこからでもできるから、自分の時間を大切にしつつ、プロとしての影響力を高めることもできる。いい波に乗っかった、と思った。