2度目の社外会議とその後の全体会議に元役員が出席したことは、CEOの主張に信頼性を与えた。豊富な経験をもつ元CFOは、監査人を誘導する方法について貴重な助言を与えてくれた。そして、元上司は、じっくり話を聞いて励ましの言葉を与えてくれた。

次の1年で、会社は同社で初めてのレイオフを行って組織を再編した。財務担当副社長は解雇され、一部の有力幹部は退職させられた。マーケティング部門は再編され、1つの部門が売却された。成長と利益が徐々に回復し、有望な新製品が2つ発売された。

この期間を通じてCEOは3人のアドバイザーにたびたび会っていた。アドバイザーたちは表に出ることはほとんどなかったが、CEOが彼らの助言を必要とするときはいつでも会ってくれた。CEOは後にこう語っている。

「彼らの助けがなかったら、あの時期を乗り切ることはできなかっただろう」

3人のアドバイザーとの協働関係を成功させたのは、事前の的確な状況分析と、関係強化のための積極的な行動だ。CEOは、このような困難で複雑な状況に直面した経験がなかったので、独力では成功できないということを認識していた。また、アドバイザーと強固な関係を築くために、積極的に連絡をとり、懸命に努力した。CEOは、会談と会談の合間にもアドバイザーたちに絶えず最新の情報を知らせていたし、彼らが会いたいと言ってきたら必ず会うようにしていた。

初めてトップレベルの職に就いた人であれ、新しい分野で会社を導いている人であれ、大きな変革を行おうとしているリーダーは、困難で予測不可能な状況に直面する。成功した探検家や辺境開拓者が、新しい土地の危険に対処する手助けをしてくれる偵察人や案内人を雇ったように、賢明なリーダーは自分が必要とするアドバイザーを見つけ、協働関係を生産的で有益なものにするために懸命に努力するのである。

(翻訳=ディプロマット)