間違った人に助けを求めると「命取り」

金融サービス会社の新任のCEOが、きわめて重要な仕事に適切なアドバイザーを選ばなかったために職を失いかけた例を次に紹介しよう。

このCEOは就任早々、この会社のITシステムと財務管理システムは不十分だと判断した。彼は前職にあったときの経験から、コンサルタント・チームを雇うことにした。

6カ月経ったとき、彼はチームワークの問題がシステム改善の効果的な実施を妨げていることに気づいて、文化変革の構想が必要だと判断した。そこで、システム・コンサルタント・チームに、業務改善の仕事に加えて文化変革にも取り組んでくれと依頼した。

その結果、事態はさらに悪化した。コンサルタント・チームは、文化変革の専門家と同じ手法を果敢に試みたが、この分野での経験がなかったために、文化変革の成功にとって重要な微妙な要因を見過ごしてしまった。

コンサルタント・チームは、この仕事には適していなかったのだ。彼らのミスは、専門外の分野に乗り出して、重大かつ複雑な問題の解決策を何とか見つけ出せると考えたことだった。だが、社員の士気が下がり、CEOの信用も大きく損なわれた最大の責任は、CEO自身にあった。