キャッシュに無頓着な黒字も「悪い黒字」

また会計知識の基本的な話として、キャッシュに無頓着な黒字も「悪い黒字」と言える。図1のように、70万円で仕入れた商品を100万円で販売すれば利益は30万円の黒字だ。ところが仕入れ代金70万円を支払う時点でそれだけの現金がなければ資金ショートとなり、倒産してしまう。利益が出ているのに倒産する「黒字倒産」だ。これは、「利益とキャッシュは別物」という会計に対する基本的な理解不足が招く「悪い黒字」だ。


金子智朗
ブライトワイズコンサルティング代表社員
公認会計士、税理士。名古屋商科大学大学院教授。著書に『「管理会計の基本」がすべてわかる本』(秀和システム)などがある。
 
(構成=野澤正毅 撮影=榊 智朗)
【関連記事】
米国トイザらス倒産とアマゾンの深い関係
アマゾンの戦略は「孫子の兵法」だった
神戸製鋼 日産 スバルには「宗教」がない
"間接部門を子会社に統合"が失敗する理由
"働き方改革"が企業を20世紀に引き戻す