新オフィスが社員の生産性やモチベーションをアップさせる――。昨年4月に新オフィスに移転したメットライフ生命に、従来の保険会社が持っていた地味で硬いイメージはない。メットライフ生命の本社移転の狙いとその効果はあったのか、新オフィスを探訪した。

新オフィスは継続的な成長の決意表明

メットライフ生命は2017年4月に「東京ガーデンテラス紀尾井町」オフィスに移転した。写真は27階の受付。

東京の真ん中に位置する東京・千代田区紀尾井町――。かつてその場所のシンボルだった旧赤坂プリンスホテルの跡地に、「東京ガーデンテラス紀尾井町」が竣工したのは2016年7月のことだ。3万平方メートルという広々とした敷地に建つ建物で、ひときわ目をひくのが「紀尾井タワー」。地上36階・地下2階建て、低層階は商業施設で、5~28階がオフィスに使われている。

日本初の外資系生保として日本で営業を開始してから45年になるメットライフ生命が、紀尾井タワーの25階から27階の3フロアに本社を移したのは、17年4月。7月1日付で本社所在地の変更を行った。あわせて17年10月には墨田区にある既存オフィス「錦糸町オリナスタワー」も拡充・整備し、これまで本社ビルを含む7カ所に分散していた都内のオフィスを2カ所に集約した。

各フロアには共有エリア(クラブ)を設置。ミーティングや昼食をとったり、誰でも自由に利用することができる。

このプロジェクトの狙いをメットライフ生命の代表執行役 会長 社長 最高経営責任者(CEO)のサシン・N・シャー氏は、「14年にオフィス環境の見直しに着手しました。とりわけ新本社は、明るく開放的な設計とし、社外との垣根のない、イノベーションを生み出せる土壌をつくりたいと考えました。新本社のロケーションならそれができます」と語っている。

シャー氏は、旧赤プリ跡地に本社を構えたのは、多くの人たちに「メットライフ生命は、あの一等地に本社がある会社だ」と認知してもらいたいからだったという。そして、そのことはまた、グローバル市場において日本でのビジネスを重視し、意欲的に取り組むことへのコミットメントだ。そして、将来における継続的な成長に対する決意表明といっていい。

執務エリアには予約なしで気軽にミーティングが行えるスペースを設けている。

このオフィス見直し業務に当たっていたリアルエステート&ファシリティ部の丹野賢一部長は「いくつかの候補地があったなかで、ここに決定したのは本社機能を有するもう一つのビルがある錦糸町との接続の良さ、地下鉄などで40分という便利さもありました。加えて、ワンフロアが約3000平方メートルという広さと使い勝手の良さが、わが社にとっては魅力でした」と話す。