恐竜や女性ヒューマノイドロボットがフロント業務
恐竜ロボットや女性ヒューマノイドロボットがチェックインなどのフロント業務を行う。この奇抜さが「変なホテル」の人気の秘密だ。2015年7月に長崎県のハウステンボス敷地内に1号棟がオープン。その後、千葉県の舞浜や都内では西葛西、銀座など5カ所に相次いで開業しており、その注目度の高さとあいまって展開が加速している。
スタートがテーマパーク内のホテルだけに恐竜ロボットという発想は極めて自然だった。ハウステンボスを経営するエイチ・アイ・エス(H.I.S.)の澤田秀雄会長兼社長のアイデアだというが、それが「初めてロボットがスタッフとして働いたホテル」としてギネス世界記録にも認定され、オンリーワンかつナンバーワンを勝ち得たことになる。しかし、本来の狙いであり経営的側面からいえば、このホテルが追求したのは究極の生産性だった。最新テクノロジーをいちはやく活用することで、マンパワーをできる限り削減し、高収益体質を目指したのである。
「現在、人が担う仕事は2割ほど。人感センサー機能を持つロボットや自動精算機が代替できるようにしました。さらに清掃ロボットを配置することで業務の効率化、省力化を図りました。また、舞浜の客室にはAI(人工知能)を搭載したコンシェルジュロボットがいて、宿泊者の声でライトやテレビをオン・オフします」
こう話すのは、H.I.S.グループ傘下でホテルを運営するH.I.S.ホテルホールディングスの清水学取締役。同社設立の16年10月まではH.I.S.の経営企画室に在籍し、舞浜の「変なホテル」の立ち上げにも関わってきた。グループ全体のホテル運営の実態も把握している立場だけに、生産性向上の実感は人一倍強いのかもしれない。
実際のところ、ハウステンボスでは、オープン時のロボットは6種類、82体だった。それが、昨年8月時点では27種類、233体も稼働している。その結果、開業時は30人必要だったスタッフが、なんと7人に減ったので、生産性が4倍に上がった計算。しかもその間、客室数が72から144に倍増しているというから驚きだ。