中国・北朝鮮に"土下座"するしかない
平昌冬季五輪の開会式は、まさにドローン関連の民生技術の発展を知らしめるものであった。米・インテル社が1218台ものLED搭載のドローンを1人のパイロットが地上から操作し、さまざまな編隊を組んでみせるショーを行った。しかも、このプログラムは最短で1日でつくれるという。
いみじくもこの五輪ショーの1カ月前、人類史上の一大転換点が起きた。シリアのロシア軍基地を手づくりドローンの群れが襲撃したのだ。この意義は、(1)手づくりのドローンによる集団攻撃、(2)65年ぶりに大国の軍隊が空爆を受けた、ということに尽きる。
特に前者は深刻だ。この機体は草刈り機のエンジンやガムテープなどで構成され、10発の手りゅう弾を搭載。50~100キロもの彼方から飛んできたのである。要するに民生部品の寄せ集めであり、ホームセンターに行けばロシア軍を爆撃できてしまうのである。
今回は、たまたま被害がほとんどなかったが、それはライト兄弟の機体を見て、航空機の脅威を過小評価するような行為だ。そもそも、ヤマダ電機で販売しているような2万~3万円のドローンによる爆撃がシリアやイラクでは相次いでいる。ウクライナの世界最大の弾薬庫がロシア側の民生ドローン爆撃によって吹き飛んだのも記憶に新しい。モスルに進軍中の米軍部隊もこの手の攻撃を過去に受けている。
これらは、格安・手軽・容易・大量に攻撃できる手段を与えるものであり、しかも、小型ドローンは従来のレーダーでは把握しにくいことが問題となっている。また、ミサイルしか対抗手段がないが、それでは費用対効果が低いという点が問題となっている。「200ドルのドローンを300万ドルのパトリオットミサイルで迎撃する羽目になっているが、これは費用対効果としては問題だ」とデビッド・パーキンス大将が批判する所以である。