「プレゼンテーション」に苦手意識をもつ人ほど「プレゼンする機会が少ない」という悩みをもっているようです。しかし6万人以上を指導してきた研修講師の西野浩輝さんは「そう考えている人は捉え方が狭い。『日々是プレゼン』という考え方をもつだけで、プレゼン力は大きく改善する」といいます――。(前編、全3回)

多くの人が抱えるプレゼンに関する3つの悩み

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私はこれまで14年間で6万人にプレゼンテーションの指導を行ってきました。聞き手を魅了するような発表は、限られた人のスキルとお考えかもしれません。しかしプレゼンテーションに天賦の才は必要ありません。どんな人でも「プレゼン力」をつけられますし、その力でビジネス人生を有利にもっていくことができます。

これから「考え方」「やり方」「伸ばし方」の3つにわけて、「プレゼン力のつけ方」について解説していきます。第1回はすべてのベースになる「考え方」についてです。

私が研修の受講者から相談される「プレゼンに関する悩みごと」で、とりわけ多いのは以下の3つです。

(1)いつもアガってしまって、本来の力が出せない。
(2)自信がないので、本番でも落ち着きがなくなり、失敗してしまう。
(3)プレゼンテーションの機会が少ないので、なかなか力がつかない。

この3つの悩みは、「考え方」をちょっと変えるだけですぐに解消できます。プレゼン力を高めるうえで重要なことは「考え方」なのです。

アガリは克服するのではなく上手に活用する

まず1つ目の「アガリ症を何とかしたい」という悩み。こうした悩みには私はいつも、「アガリ症なんて克服する必要はありません。むしろアガるのは良いことです」と答えています。

お笑い芸人や歌手など、一流のプロと呼ばれる人でも、本番前には相当アガると言います。一流のプロでさえ、アガリを克服するのは無理なのです。だからあなたにも「アガるのは自分だけではない。誰だってアガるんだ」と思ってほしいのです。

大切なのは、アガリをうまく活用することです。私は「ベストなパフォーマンスができるのは『緊張6:リラックス4』ぐらいのときです」と説明しています。

「緊張10:リラックス0」では、カチコチになってしまいます。でも「緊張0:リラックス10」でも良くない。すっかりだらけてしまって、ぐだぐだになります。だからほどよい緊張感をもつことはむしろ良いことなのです。