意外と多くの人に該当する「医療費控除」

年収850万円超の会社員は2020年から増税になることが決まりました。会社員は給料やボーナスから税金が天引き、年末調整で精算されることもあり、いくら納税しているか把握していないなど、税への意識が希薄です。今後も課税が強化される可能性があるので、税負担を軽減できる制度を知っておきましょう。

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まず基本ですが、年収2000万円超または副収入が20万円超の場合を除き、ほかに収入がなければ会社員に確定申告の義務はありません。

ただし、年末調整では控除の手続きができないものもあり、確定申告をして然るべき控除を受けることで所得税が還付される可能性があります。

意外と多くの人に該当するのが、「医療費控除」です。医療機関で支払った医療費や薬代、通院にかかった交通費などが高額になった場合、年間10万円または総所得の5%を超えた分が所得から控除されます。同居する家族の分も合算が可能。離れて暮らす親の医療費を負担した人はそれも合算できます。

子どもの歯列矯正費や腰痛の治療のためのはり師、きゅう師の施術料など、意外なものも対象になりますので、「医療費控除の対象となる医療費」として国税庁のホームページに掲載されている情報をチェックしてみましょう。

なお、これまで医療費控除を受けるには医療機関の領収書などを添付する必要がありましたが、2017年度からは添付せず、5年間、自宅で保存するように変更されています。

10万円もの医療費は負担していないという人でも、「セルフメディケーション税制」の対象になる可能性があります(医療費控除とどちらか一方を選択する)。

これは17年から施行されたもので、一定の健康診断(勤務先の検診など)を受けた人が、国が指定した医薬品などを購入した場合、年間1万2000円を超えた分が控除される、というものです。