「元気だと思っている親ほど危ない」
今はどんなに元気でも、自分の親にいつ介護が必要になるかは誰にもわからない。厚生労働省が発表した「65歳以上人口に占める介護保険受給者の割合」を見ると、年齢とともに受給者の割合がぐんぐん上がっていくのがわかる。つまり、介護は「いつかは必ず来る」ものなのだ。
「元気だと思っている親ほど危ない」と指摘するのは、『50代からのお金のはなし』などの著書がある、ファイナンシャルプランナーの黒田尚子氏だ。
「高齢者の事故の8割近くが家の中で起きています。それは彼らの外出が減るからでもありますが、『勝手知ったるわが家だから大丈夫』という油断があるのも事実。年をとると筋力が弱まるので、物を上に上げるのが億劫になり、気づけばいろいろな物を床に直接積み上げています。すると、ふとした拍子に躓き、転倒。敷いてあった布団の端に足を取られて骨折してしまい、そこから寝たきり生活がはじまった事例も。親の体力的な衰えを察知し、リフォームなどの対策をとることも大切です」(黒田氏)
厚生労働省が発表した「介護が必要になった主な原因」を見ると、骨折・転倒が4番目に多い。そのほかにも、脳血管疾患、認知症を筆頭に「さもありなん」という項目が並んでいる。何がきっかけではじまるかわからないのも介護なのだ。
しかし、親が危険な目に遭わないように、辛くないように、と何でもかんでもやってやるのは間違いのようだ。