判断期限は3カ月「相続破産」の回避法
相続するのは預貯金や不動産といったプラスの財産だけではない。借金などのマイナスの財産もまた相続の対象であり、プラスの財産だけを選んで相続することはできないのである。
プラスよりマイナスのほうが明らかに大きいことがあらかじめわかっているなら、相続放棄の手続きをとるなど対処の仕方はある。
困るのは、死後に家族も知らない借金が次々と出てくるケースだ。
「FXで出した損失の穴埋めやギャンブルなど理由はさまざまですが、友人や知人に数十万から数百万円単位のお金を借りていて、それが亡くなったあとに発覚するケースは決して少なくありません」(税理士 高馬裕子氏)
貸したほうはたとえ少額でも絶対に忘れないので、この機を逃してなるものかと49日の法要に借用書を持って現れることもあるという。
「俺が死んだら生命保険で返すから」と言って借りているような場合も、亡くなったという情報が耳に届くやいなや、すぐに債権者が駆けつけてくるというから、遺族は悲しんでばかりもいられない。
「といっても現在の制度では、親族以外の人が生命保険の受取人になるのは難しいので、たいていは保険金を受け取った家族が肩代わりを迫られることになります。その結果、相当額の示談金を支払うことにでもなれば、お金の工面もしなければなりません。こうなると故人を悼む気持ちも一気に冷めてしまいます」(税理士 佐野明彦氏)