日本で広がる「リーテック市場」

サッカー選手時代から「世界を目指す」ことを求めてきた樋口氏は、2013年3月、ついに起業する。

「コネもカネもありませんでしたが、着目した『リーテック市場』の可能性と不動産セールス時代に培った営業力で、不動産業界を変えられるという覚悟と自信はありました」(樋口社長)。

「リーテック(不動産テック)」はリアルエステート(不動産)とテクノロジーを掛け合わせた造語。2010年頃からアメリカを中心に急拡大しており、現在は世界45カ国に1300以上のサービスが存在すると言われる。

そしてリーテックの対象となるのが中古不動産市場だ。特に日本は中古市場の割合が小さく、不動産市場全体のわずか13%。米国の77%、英国の88%などと比較すると極端に小さく、伸び代は大きいとみられている(国土交通省「中古住宅流通、リフォーム市場の現状」)。

日本の中古不動産市場が拡大しない原因としては、業者と消費者との「情報格差の存在」が指摘されている。不動産業者が「相場」について知悉しているのに対し、消費者はつねに「カモ」にされる存在なのだ。これでは市場は広がらない。

ジーエーは、こうした情報格差を埋めるサービスとして、2016年8月にAIを活用したリノベーションアプリ「Renosy(リノベ版)」を開始している。物件選びからリノベーションの提案までをアプリ内で完結させるもので、「希望に合う物件が見つからない」「自分のこだわりがうまく伝わらない」といった不満をAIの活用で解決するとしている。

また、2017年3月からはチャットで気軽に相談できる不動産投資アプリ「Renosy(投資版)」も開始。「営業マンとのアポが面倒」「自分にあった投資物件が分からない」という不満や不安を、豊富なデータベース機能とリコメンデーション機能によって改善し、若い世代の不動産投資の拡大を狙っている。