「フィンテックにはさまざまな分野があるが、現状、クラウド型会計ソフトとともに市場を牽引しているのはソーシャルレンディングだ」――。3月8日、「ソーシャルレンディングサミット」を開いたクラウドポート(東京都渋谷区)の藤田雄一郎社長はこう話した。
ソーシャルレンディングとは、事業資金を借りたい企業と資産運用をしたい個人をネット上でマッチングさせるサービス。高い利回りで注目を集めるが、「どこか怪しい」という指摘もある。3月24日には、証券取引等監査委員会が、ソーシャルレンディング事業者であるみんなのクレジット(東京都渋谷区、白石伸生氏)を金融商品取引法に基づき行政処分するよう金融庁に勧告している。
事業者にとっては逆風となるが、藤田社長は「業界はまだ発展途上でありコンプライアンス態勢、業務管理態勢が十分でない会社が存在することも事実。また、ソーシャルレンディングはこれまでパフォーマンスが良すぎて、逆に怪しいという風評も生まれている。当社は中立的な立場から投資家に情報提供する日本初のソーシャルレンディング専門メディアとして業界の健全な発展に取り組んでいく」と語る。日本のソーシャルレンディングの現状と課題について藤田社長に聞いた。
プレーヤーは25社以上に拡大する
――ソーシャルレンディングとはどのようなサービスですか。
お金を借りたい企業とお金を運用して増やしたい個人をマッチングするサービスです。一人の投資家が出資する金額が少額でも多くの投資家が集まれば数百万、数千万という金額になります。借り手が返済した利子からソーシャルレンディング事業者の手数料を差し引いた金額が投資家に分配されます。
――市場規模はどのように推移していますか。
2016年は前年比で1.7倍に拡大、参入事業者も1年で2倍の20社に増え、2017年には上場企業も含めて25社以上に拡大する見込みです。
ただ、米国と比較すると日本市場はまだまだ。日本市場は2016年、533億円(ファンド募集総額)ですが、米国では2016年には5兆円を超える勢いで伸びています。日本の場合、個人から資金を集めて企業に貸し出すことが多いのですが、米国の場合、個人から集めて個人に貸し出すことが多い。米国ではP2Pレンディングとも呼ばれています。米国で人気のあるSoFiは学生ローンの借り換えニーズに対応しています。