楽天やヤフーショッピングなど、「既存のEC(電子商取引)はナショナルブランドのコモディティー化した商品を売っている。しかし、僕らが目指しているのは最近、米国のマーケティング分野で話題になっているD2C(Direct to Consumer)。ビジネスの構造が基本的に違う」――。

決済の簡易化を目的にネット店舗の開設支援を行う・BASE(ベイス)の鶴岡裕太代表取締役CEOはキッパリと語る。“EC2.0の旗手”鶴岡CEOに目指すところを聞いた。

起業のきっかけは55歳の母親の言葉

――BASE創業までのビジネス経験と創業の動機を教えてください。
鶴岡裕太・BASE代表取締役CEO

僕は大分の出身で、上京して大学はメディア学科を選びました。そのころインターネットに触っていて、米国のクラウドファンディングのKickstarterを知りました。インターネットで人からお金を集めてプロジェクトを実施するというすごくインターネット的なサービスに衝撃を受けました。それで、クラウドファンディングに興味を持って、インターンを募集していたCAMPFIREでエンジニアのインターンを開始。Webサービスを作っていましたが、辞めて2012年11月にBASEを起業しました。当時は大学生で22歳の時です。

BASEを作ったきっかけは「ネットショップを開店したい」という55歳(当時)の母親の言葉でした。僕の母チャンは大分の駅の商店街のど真ん中で婦人服の小売店をしています。でも最近は過疎化で、お客が店に来ない。それで「ネットで商品を販売できないかしら」と聞いてきました。2012年のことでした。

――サービスの特長は何でしょうか?

簡単に誰でも無料でネットショップを作ることができることです。BASEは必要な機能はすべてオールインワンで提供しているので、URLとメールアドレスとパスワードを入力すれば、直ぐにネットショップの土台が完成します。それと、商品が売れた段階でしか課金しません。先行している大手のネットショップは初期費用、月額費などがあり、商品が売れないと、加盟店はどんどん赤字になる。

だが、僕らは商品が売れたタイミングで商品代金の3.6%+40円しか頂かない。この仕組みは開店当時から、多くの小売店に支持されました。

――会員はどのような業種が多いのでしょうか?

ファッションが50%。ハンドメイド、家電、ガジェット系、食品などが多い。この比率は先行する大手ECサイトとほとんど変わりませんが、BASEの特長は自分で作った商品を自分で売っている人が圧倒的に多いこと。大手ECでは他人の作った商品を入荷して販売しているのがほとんど。

これに対して、BASEの毎月の売り上げトップランキングを見ても、僕らが知っているブランドは全くありません。地方の企業で特定のゾーンをターゲットにしている従業員が5人以下という小企業がほとんどです。最近、米国のマーケティング分野で話題になっているD2C(Direct to Consumer)ですね。