2月27日~3月2日の4日間、 世界最大のモバイル見本市「モバイル・ワールド・コングレス(MWC)2017」 がスペイン・バルセロナで開催された。このMWCには、4YFNというベンチャー企業向けの別会場があるが、この会場のゴールド・スポンサーとして、ネッスル、Sabadell(銀行)、日本のソラコムの3社が登場。シルバースポンサーには、Google、マイクロソフト。ホストスポンサーにはテレフォニカ(キャリア)。そんな中に、設立2年足らず、従業員は30人ばかりの「小さな無名の会社」であるソラコム(SORACOM)は、異彩を放っていた。さて、ソラコムとはどんな会社なのだろうか?
注目を集めた日本の無名ベンチャー
毎年2月下旬にバルセロナで開催されるMWC。すでにこのモバイルの見本市は、モバイルという枠を超え、IoT、AI、5G、クラウド、自動運転、VRなどが主テーマとなり、ネクストエコノミー、ネクストソサイティなどと、ITが変えていく未来社会の見本市となってきた。今年のキーテーマは「The Next Element」だ。
一方、4YFNは、ベンチャー企業を支援するための同時開催イベント。場所は少し離れた会場、フィラ・モンジュイックだ。4YFNとは「4 Years From Now」の略。文字どおり「今から4年間」のためにスタートアップを支援する、投資家、VC、企業を交えて、設立支援、出資、教育レクチャー、ネットワーキングを提供するバルセロナ市のビジネスプラットフォームだ。4回目の今年は600社以上のベンチャー、700人以上の投資家とVCが参加。また来場者は1万8000人以上となった。ベンチャー支援には、世界各国で、国、企業ともに力が入ってきおり、本会場以上にホットなベンチャー・イベントとして年々勢いが高まっている。残念ながら日本は影が薄い。そんな中、注目を集めたのが、まだ無名の日本のソラコムという小さな会社だ。
ソラコムの事業とは、なんだろうか? ソラコムは、分類上は、「MVNO」事業会社だが、IoT(インターネット・オブ・シンングス)業者向けのデータ通信用のSIMカードと、それを運用管理のためのクラウドの2つを提供するプラットフォームサービスだ。すでに技術者の間では大きな関心となっているが、まだ一般のビジネスマンには、会社名、実態サービスともになじみはない。
ソラコムは、赤坂に本社を置く、30人ばかりの会社だ。率いるのは、41歳の社長・玉川憲(たまがわ・けん)氏(以下:玉川)だ。2010年から5年ほど、AmazonでAWS(Amazonクラウド)の日本事業の立ち上げの責任者(エバンジェリスト)として活躍した。
2015年3月にソラコムを設立、9月に最初のサービス「SORACOM Air」を開始。また増資も2016年6月に7億円、9月に30億円を調達した。すでに5000社の顧客を持ち、280社のパートナーを開拓。さらに昨年12月にアメリカ支社をパロアルトに、今年2月にヨーロッパ支社をコペンハーゲン開設し、一気にグローバル展開を図ろうとしている。