IoT向けSIMカードと運用サービス

ソラコムのサービスの大きな特徴は、今後伸びしろは7兆円と爆発的に増える予測のあるIoT向けを対象としている点だ。いままでのMVNO事業者では、スマートフォンやタブレット、WiFiルーターなどの携帯電話端末向けだったので、大きく違う対象が違う。

MVNO事業とは「Mobile Virtual Network Operator(仮想移動体通信業者)」の意味で、ドコモ、au、ソフトバンク以外、いわゆる格安携帯電話サービスのことを指す。IIJmioや楽天モバイル、DMMモバイルなど、現在では30社近くが参入しており、携帯通信の比率でも10%程度に届いている。

ソラコムのサービスがSIMカードを販売するMVNO業者と違うのは、SIMカードと運用サービスの2つを併せて提供をしている点だ。つまり、「ソフトウエアで実装されたMVNOである」ことが、大きな特徴だ。これにより高いセキュア(安全)と利便性を実現している。

投資家とのベンチャー企業の相談コーナー。真剣そのものだ。

今年のMWC2017の最初のキーノートで登壇したソフトバンクグループの代表・孫正義氏は、自社のARMの将来性を「今後、スマートフォンの台数は伸びない予測だが、IoTチップは伸び、1兆件の契約者を得ることができる」と説明した。しかし、IoT提供業者にとっては、セキュア(安全性)の確保とコストという大きな悩みがある。

代表の玉川はいう。

「IoTはこれから伸びていくサービスですが、インターネット網を使うとセキュアが問題です。大切な情報をネットにばらまくことになります。そこでSIMカードを使い、携帯電話回線網を通じて、直接通信を行えば、圧倒的にセキュアが確保されるのです。また我々のソラコム・クラウドを使えば、高額なハードウエアを購入する必要もなく、つなぎ込みや運用を考える必要なく、自社のサービスを自在に組み立てられ、運用コストも低く抑えることができます」

SIMカードは、個体のIDを明確にできる上、基本的にハッキングされない。また携帯電話網であれば、インターネット網というリスクがなくなり、また位置情報を得ることもできる。

ソラコムのクラウドシステムは、AmazonのAWS内に置いてあるため、基本的にAWS以外にはデータは動かない。また、IoT業者がサービスを開発するとなると、個別にシステムを組まないといけないが、このソラコムのSIMカードによる携帯電話網と、サービスのためのインフラ、運用システムを利用すれば、IoT業者は、サービスプログラムそのもの開発に専念するだけでよくなる。