上司や部下、取引先など、ビジネスのあらゆる人間関係において、主導権をにぎれたら……。香港生まれの「元祖メンタリスト」が、そんな願いをかなえる、実践的な心理テクニックを紹介する。

このテクニックでビジネスの人間関係が一変

私、ロミオ・ロドリゲス Jr.は、香港生まれのメンタリストです。「メンタリズム」という言葉がここまで広がる10数年前から活動しています。その肩書に怪しいイメージを持つ方もいるかもしれませんが、メンタリズムのベースにあるのは心理学。科学的な根拠をもとに、相手の心を読み取り、操る技術です。2010年には縁あって、香港大学でメンタリズムの講義もさせていただきました。

また、メンタリズムをもとに、ビジネス心理術という、「ビジネスの現場において、相手の心を読み取り、操る心理テクニック」を築き上げました。私はその専門家として、サービス業の方を対象にお客様の心を読み取るセミナーを開催したり、『気づかれずに主導権をにぎる技術』(サンクチュアリ出版)のような書籍形式でそのノウハウを紹介したりしています。

私に言わせれば、「ビジネスの人間関係」の悩みは、すべてこの心理術で解決できます。提案になかなかイエスと言わない上司も、伸び悩んでいる部下も、厳しい交渉が必要な取引先も、これからお伝えする方法で、相手を自分のペースに巻き込め、思いのままにできるのです。

それでは、実践的なビジネス心理術をいくつか紹介しましょう。

イエスと言わない上司には「ワーディング」

はじめに紹介するのは、自分の提案になかなかイエスと言ってくれない上司を攻略するための心理術です。ガンコな上司には、「ワーディング」と呼ばれる心理術を使いましょう。

ワーディングとは直訳すれば「言い回し」を意味し、相手を自分の希望する方向に、言葉によって誘導することです。たとえば、あなたが社内である提案を通したいとしたら、上司に対して、次のようなワーディングを駆使してください。

「役員の◯◯さんも、この提案には見込みがあるとおっしゃっていたのですが、部長はどうお考えですか?」

シンプルなテクニックではありますが、これほど効果的なものはありません。

もし、あなたが上層部の人間に働きかけるのが難しいというのなら、「数」を利用したワーディングをするのも効果的です。たとえば、調査会社を利用してして、100人に事前アンケートをしてみる。

「部長、100人にアンケートを行なったのですが、90パーセントはこの商品を購入したいと答えています。この人数をどうとらえますか?」