なぜ、男性の育児休業率はたった2.65%か?
女性が育児と仕事を両立させるために、男性配偶者の育児参画が求められています。厚生労働省の「雇用均等基本調査」によれば、2015年度の女性の育児休業取得率は81.5%に上る一方、男性の育児休業取得率は2.65%であり、著しく低いのが現状です。
なぜ、男性は育児休業を取得しない、もしくは取得できないのでしょうか。
本稿では、日本労働組合総連合会 総合男女平等局総合局長の井上久美枝氏、部長の菅村裕子氏にご協力いただき、男性の育児休業取得率が低い理由を考えてみます。
【男性の育児休業取得率が少ない理由】
その1:男性は育休をとると上司から不利益な扱いを受ける
連合が、20代から50代の計1000人の男性を対象に2013年12月に実施した「パタニティ・ハラスメントに関する調査」(以下、「パタハラに関する調査」)のなかでは、パタニティ・ハラスメント(*1)の経験を尋ねています。*1:男性が育児休業など育児のための制度を利用する際に、同僚や上司などから不利益な取り扱いを受けること
子どもがいる男性525人のうち、過去に何らかのパタニティ・ハラスメントを受けた経験があると回答した男性の割合は11.6%です。具体的には、
「子育てのための制度利用を認めてもらえなかった」(5.5%)
「子育てのために制度利用を申請したら上司に
『育休をとればキャリアに傷がつく』などと言われた」(3.8%)
「子育てのための制度利用をしたら、嫌がらせをされた」(1.9%)
といった回答が得られています。
▼6割は「誰にも相談せず、育休取得をあきらめた」
そのほか、職場内や社外の友人などで、周囲でパタニティ・ハラスメントにあった人がいる、と回答した男性は、全回答者のうち10.8%です。やはり職場のなかでパタニティ・ハラスメントが存在している状況がうかがえます。