高い内閣支持率を維持し、「安倍一強」と言われる安倍政権を支える自民党幹事長の二階俊博氏。その存在感を増している二階幹事長に安倍政権が抱える問題を直撃した(後編)。
憲法改正はそれほど急がなくてもいい
【塩田潮】安倍首相は昨年9月、「政治的手腕が一流」と言って二階さんを幹事長に起用しましたが、その腕前で小池さんを取り込む魂胆では、と見る人もいるようです。
【二階俊博(自民党幹事長)】こっちからそんなお節介なことはしませんよ。何でも円満にと言う人もいるけど、どっちかというと、私は喧嘩のほうが好きだ。政治って、みんなそうでしょう。
【塩田】安倍首相は憲法改正に意欲的で、本心では首相在任中の改憲実現を企図していると見られます。二階幹事長は憲法改正問題についてどうお考えですか。
【二階】これこそ広く国民の意向に従って進んでいかければならない。できるだけ多くのみなさんの意見を頂戴し、それに沿って進めていく。時間をかけて、円満にやるという揺るぎない信念で取り組んでいきたいと思っています。
【塩田】現憲法のままでいいのか、それとも変えたほうがいいと思っていますか。
【二階】現憲法は、生い立ちからいっても、ちょっとおかしい、と誰でも考えているわけでしょう。ここは変えたほうがいいと思っている点は当然、あります。議論し、改憲で行けるとなれば、その方向に行きます。ですが、無理してはいけないというときは、あえて無理して挑発する必要はないと思っています。
【塩田】安倍首相は3月5日の党大会で「自民党は改憲案の発議に向けて議論をリードしていく」と述べていますが、改憲問題で首相から幹事長への働きかけはありませんか。
【二階】そんなことはありません。
【塩田】改憲案は衆参の憲法審査会で各党が協議して取りまとめることになると思いますが、幹事長として国会の議論をリードしようというというお考えは。
【二階】まだそこに至っていませんよ。これから議論を重ねていって、落ち着くところに落ち着かせるということです。今、どうこうしなければということではない。もう少し時間をかけてじっくりやったらいいと思います。それほど急がなくていい。先にやるべき重要な課題はいっぱいありますから。自民党内の空気をいちいち調べたことはありませんが、党内の意見が一致すればその方向で行くべきですが、そうでなかったら、慌てて取り組まなければならないということはありません。
【塩田】幹事長就任後、沖縄県の翁長雄志知事と会談したという報道がありました。
【二階】私が卒業した中央大学の関係で翁長さんの兄さんと近かったので、翁長さんが知事になる前から知っていました。十数年前に「弟がいずれ政治に参加したいという希望を持っているので、その節はよろしく」と言われました。その頃から弟さんとも、ずっと付き合ってきました。なかなか立派な人だと思います。