大阪府豊中市の国有地が学校法人「森友学園」に鑑定価格よりも低く売却された問題をめぐって、3月23日、国会で森友学園の籠池泰典理事長の証人喚問が行われました。その際、籠池理事長は国有地の取得に「政治的な関与があった」と語るとともに、開設予定の小学校の認可に関して、「松井一郎大阪府知事にはしごを外された」と述べました。小学校の設置については、大阪府私立学校審議会が2015年1月27日に条件付きで「認可適当」と答申し、17年3月10日に森友学園が認可申請を取り下げています。

今回のインタビューは17年2月22日に行ったものですが、約1カ月後に国会での証人喚問で、籠池理事長が小学校の認可問題をめぐって大阪府や松井知事との関係について言及し、その点が問題となったため、追加して松井氏に、小学校の認可問題、籠池理事長との関係などについて再質問を行い、書面で回答を得ました。その全文を下記のインタビュー記事と併せて収録しました。

「府市再編」の法定協議会を提案

【塩田潮】大阪府知事在任が5年を超えました。

松井一郎 日本維新の会代表、大阪府知事

【松井一郎(日本維新の会代表・大阪府知事)】やりがいはあります。大阪で成長のためにこれをやろうと思えば、府市両組織を動かすことができる。どんどん結果をつくっていける。東京と比べて都市として遅れを取ってきたインフラがどんどん動き出す。インバウンドのお客さんを呼び込む仕掛けをつくる。そうすれば、東京以上の伸び率で訪問客が増える。それによって大阪の消費は拡大する。それが府民のみなさんの豊かさにつながる。

【塩田】大阪での都市改革で、2015年5月に当時の橋下徹大阪市長とともに実現を目指した大阪都構想が大阪市の住民投票で否決され、一度、挫折を余儀なくされました。

【松井】再度、府市再編の議論を行うための法定協議会をこの議会で提案しました。大阪府と大阪市の両議会で同意を得れば、前回に否決された協定書と違った大阪府・市の再編の協定書を改めてその法定協議会で取りまとめていきたいと思っています。

【塩田】「総合区8区構想」が報道されていました。

【松井】総合区は公明党が旗を振っていますが、今よりも少しよくなることは否定しません。ですが、あくまでも大阪市で身近な総合区役所を設け、権限強化を図る構想です。基礎自治体として今の24区の行政区制度よりは住民の身近なところで実行・実施できるので「よりまし」ですが、大阪市という政令市は残る。制度としての二重行政の解消にはなりません。役所の組織や仕事に、納税者が百点満点を付けることはない。総合区は今の24区よりはベターですが、われわれが言う都構想はそれよりもベターだと思っています。

【塩田】大阪の都市改革の行方について、今後の展望は。

【松井】大阪は自民党、共産党、民進党の共闘体制なので、議会で公明党の協力を得られかどうかです。「自・共・民」は、みんななりふり構わず、何が何でも自分たちの身分を守ろうとします。制度を変えることは議員の身分が変わることです。明治維新の頃は、武士の身分がなくなるということで争いになった。政治家は身分がなくなるというと、今まで言ってきた理想論は投げ捨ててでも身分を守ろうとする。大阪で5年間やってきてよくわかるようになりました。公明党は制度を変えることをまったく否定をする立場ではなく、制度変更を認めています。大阪都構想は最後、住民のみなさんの直接投票で決まるわけですから、二重行政解消のためにもう一度、住民投票を、とお願いしていきたい。

【塩田】大阪府は国際博覧会(万博)の2025年開催を唱えています。今日的意義、経済的な波及効果などをどうとらえていますか。