2016年12月2日、衆院内閣委員会で“カジノ法案”が可決された。同法案の正式名称は「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」、略して「IR推進法案」という。IRとはカジノだけでなく、ホテルやショッピングモール、巨大なMICE(会議場・展示場等ビジネス関連施設のこと)を含む複合観光施設を指す。IRで観光客を呼び込み、雇用が生まれ、地域の活性化につながると期待されている。
ただ、IR推進法案はあくまで「推進法」であり、理念や方針、手続きといった大枠を規定するプログラム法にすぎない。同法の成立によって、直ちにカジノができるわけではない。推進法可決後、1年以内にIRの詳細な内容を規定した「IR実施法」が国会に上程される予定だ。
懸念されるギャンブル中毒者への対策だが、大阪商業大学の美原融教授は「これは将来ではなく現時点での問題。国は、公営競技やパチンコなども含め、実態を精査し、総合的な対策の枠組みを制度として設けることが必要」と論じる。すでに日本はギャンブル大国であり、厚生労働省によると536万人ものギャンブル依存症の疑いがある人がいるからだ。
実施法については「国民の理解を得られる詳細な制度設計を行い、民間の投資や参画を促すインセンティブも盛り込むべき」(美原氏)という。
(時事通信フォト=写真)