森友学園問題をどう考えればいいか

【塩田】安倍首相の政治家としての資質、人物をどう見ていますか。

【松井】一度、地獄を見たので無茶苦茶強くなったと思います。国会答弁を見ていても余裕がある。次はないから、完全に覚悟を決めている。周りからの声、いい意味でいえば意見、悪い意味でいえば足を引っ張るような圧力にも屈しない形で政権を運営しています。

【塩田】安倍首相の昭恵夫人が「名誉校長」を引き受けていたことや、旧教育勅語の子どもへの押しつけ教育で話題となった森友学園は大阪府豊中市にあります。国有地の格安売却問題が大きく取り上げられ、国会でも議論になっています。

【松井】これは開設予定の小学校の認可の話と土地売買の話を分けて話をしないとわかりにくくなります。土地売買は、本来、不動産取引で地下にゴミが埋まっているなら、ゴミ処理撤去費は売り主の負担で土地をきれいにしないと、土壌汚染を含めて売り主の責任になる。今回、売り主の国がその責任を買い主に渡してしまった。一番の問題は、その土地の中にある異物、ゴミを近畿財務局が確認したかどうかです。確認していなければ、近畿財務局の職務怠慢で、処分の対象になるでしょう。もう一つは、相手側が「地下8メートルにゴミの層がある」と言ったわけで、それが事実かどうかです。これは今から確かめればいい。事実でなければ、買い主の学校側が虚偽を言って国の資産を意図的に低下させたことになり、詐欺的な行為となる。その場合は、虚偽を言ったほうの処分とか罰の問題となります。この二つの事実をきちんと調べるべきだと思います。

【塩田】安倍昭恵さんの名前が出て、森友学園と首相の関係が取り沙汰されています。

【松井】安倍昭恵さんがちょっと軽く受けたのかなというのが僕の感じですよ。総理大臣がこの小さな土地取引に関与して私服を肥やすというのは、ないと思います。安倍首相も国会答弁で、そういう事実が出れば議員も辞めると言っています。それはないでしょう。ただ安倍昭恵さんは非常に大らかで、オープンで、いろいろな人とお付き合いする方です。沖縄の基地反対運動の人とも会っている。安倍首相とは人格は別なので、日本の教育のためになるなら、私でよければどうぞ、みたいな軽い形だったのかなと感じています。

【塩田】安倍首相は在任中の憲法改正に強い意欲を示しています。維新も改憲には前向きで、去年3月に「地方自治の章などの統治機構改革、全教育無償化、憲法裁判所新設」を柱とする独自の改憲案を打ち出しました。改憲問題にどう取り組んでいくお考えですか。

【松井】現憲法のこの部分が今は時代に合っていないのでは、と各党が案を持ち寄って協議し、国民のみなさんに判断してもらうための合意形成をする場所が衆参の憲法審査会です。憲法審査会は形だけでなく、中身の議論ができるように、地方分権、教育、憲法裁判所の3点を新たに憲法の中に入れ込んでいきましょうとわれわれは具体的に提案をした。あとは各党がわれわれの提案について必要か必要でないのか、憲法審査会で議論してくれたらいい。僕は憲法裁判所は必要と思います。安保法制のとき、憲法学者が違憲と言ったけど、違憲か合憲かの判断をする場所が日本にはない。これは非常に問題だと思う。

【塩田】霞が関の官僚機構は、本音では現在の中央集権体制を堅持して権限や財源を握り続けたいと思っています。維新の改憲案の地方自治の部分は、実際に実現に挑戦するとなると、霞が関の抵抗が大きいと思われます。

【松井】霞が関と全国の議員が反対です。ですが、公約に掲げてやっていますから、それを実現するのが政治の集団の役割と思っています。