副業を積極的に容認する企業が増加中
社員の副業・兼業について3月28日に公表された政府の「働き方改革実行計画」に以下の内容が盛り込まれた。
「副業・兼業を希望する方は、近年増加している一方で、これを認める企業は少ない。労働者の健康確保に留意しつつ、原則副業・兼業を認める方向で、副業・兼業の普及促進を図る」
具体的には企業が副業者の労働時間や健康をどのように管理すべきかを盛り込んだガイドラインを策定するとともに、兼業を禁止している「モデル就業規則」を改定することにしている。ダブルジョブ、トリプルジョブは収入が増えるという点で歓迎する人は多いかもしれない。
じつは2000年初頭にも電機メーカーを中心に社員の副業緩和の動きがあった。その背景には不況の長期化による給与収入減を補てんできるようにしたいとの狙いがあった。
しかし、今回の目的は違う。政府の「働き方改革実現会議」(2016年10月24日)では兼業・副業の推進が「社員のキャリアの複線化、能力・スキルを有する企業人材の活躍の場の拡大や大企業人材の中小企業・地域企業での就業促進」が狙いであることを明らかにしている。
実現会議の議長の安倍首相も「兼業・副業はオープンイノベーションや起業の手段としても有効であります」(議事録)と述べている。つまり、兼業・副業を推進すれば、イノベーションや可処分所得の増加、創業の促進などが経済成長に寄与し、アベノミクスを後押しするものと期待している。
一方、企業の中にも副業を積極的に容認する動きも出ている。たとえばロート製薬は入社3年目以降の社員を対象に週末などに復業することを認める「社外チャレンジワーク制度」を導入している。その狙いは「企業の枠を超えて働くことで社内では得られない大きな経験を通じて自立した人材を育てる」ことにある。そのほかにもIT・ネット系企業を中心に副業を積極的に容認していこうという企業も徐々に増えている。