中島芭旺11歳、愛読書はコロコロコミックとアドラー
子供が書いた自己啓発本が、累計17万部を突破する売れ行きだという。
今年2月にはオーディオブックも発売された『見てる、知ってる、考えてる』。著者の中島芭旺(なかしま・ばお)くんは現在11歳(小学5年)。本には9~10歳のときに日々考えていたことが綴られている。
昨夏に出版されるや「へたな大人の言葉より心に響き、気付きがたくさんある」などと大きな反響を呼んだ。版元のサンマーク出版によれば、小学生から90代のお年寄りまで幅広い世代の人たちから「感動した」「勇気づけられた」との声が続々と寄せられているという。本の一部を抜粋してみよう。
「悩み。それは、いつもは悩んでないということを教えてくれる。嫌な出来事。それは、いつもは嫌な出来事がないということを教えてくれる。焦る出来事。それは、いつもは焦っていないということを教えてくれる。」
「世の中は 誰かの思い込みによってつくられている。ということは だれでもつくれるということ。」
「物事に重さはない。ただ、その人が『重い』と感じている。ただそれだけ!」
「ママのところに生まれてきたことこそが一番の才能。」
正直、読むまでは「しょせん子供が書いた本」とたかをくくっていた。しかし、92編の文章は短いながらも深く鋭い。ページをめくるたびに、子供の本でしょという「上から目線」が消えていき、自分の生き方を反省したり、逆に勇気付けられたり。「小さなからだの哲学者」という評判は決して嘘ではないように思えた。
そんな芭旺くんに会って話を聞きたい。
そう思っていたところ、今年のはじめに『プレジデントファミリー』の取材で願いが叶った。約束の場所にやってきた彼は、ちょっとおしゃまな、元気な男の子という印象。だが、話してみると自分の考えをしっかり言葉にでき、それがまた唸るほど深い。こちらの頭が追いつかず、何度か聞き返してしまったほどだ。
取材の途中には、ふと湧いてきた疑問に対して、ホワイトボードに図まで描いて「なんで? なんでだ?」と自問自答を始めることもあった。その疑問とは、「一度失敗したことは、もう一度やってもうまくいかない確率が高いのはなぜか」。考え始めると、納得できる答えが見つかるまで止まらなくなるのだという。