経済協力開発機構(OECD)が世界の中学校教員を対象にした「国際教員指導環境調査」(2014年発表)では、日本の教員の「勤務時間」は最長だった(34の国・地域を調査)。日本の中学校教員が世界一労働時間が長いという結果が出たのだ。実は、授業に費やした時間は世界平均以下。他国より長かったのは、会議や授業準備、とりわけ課外活動に費やす時間だった。

教師は、半強制的に部活顧問をやらされている!

ほぼ休みなし状態――。中学・高校生の土日祝日の「部活動」のことです。週末の部活は日本ではほぼ常識的な“風景”です。しかし、これは世界のスタンダードからすると間違いなく「異常」な状況に違いない。親として部活動をどう見るかをさまざまな立場の視点から一緒に考えていきましょう。

【1. 教師はイヤでも顧問を「やらざるを得ない」】

そもそも部活動については、学校によって、また顧問(教師)によって、取り組みに対する温度差が大きいです。顧問には「部活動いのち」の人もいれば、「部活だけがツラい」という対極の人もいます。立ち位置はさまざまとはいえ、部活動で成果を出せる人が最重要視されて重宝される地域が現実的には多いので、顧問を務めるのは半ば「当然」の業務となります。

学校の視点でみても同様で、部活動の位置付けは「最重要」から「生徒指導のためのいち手段」程度の認識まで、さまざまです。部活動で名を馳せている学校か、学力面の方で知られている学校か、によって部活動の取り組みの温度差は変化します。

部活の位置付けに温度差があること自体に善悪はなく、ある意味、自然なことでしょう。

ただ、あまり知られていませんが、顧問本人に部活動をどの頻度・力の入れ具合で担当するかという選択肢がないことが多いのです。

4領域に分けるマトリクス図にすると、次のいずれかの領域内に広く分布していることになります。

A「やりたいから存分にやっている」
B「やりたいが存分にやれていない」
C「やりたくないが仕方なくやっている」
D「やりたくないからやっていない」

教師(顧問)の部活動に対する気持ち

AとDはともかく、BとCは顧問の側に不満がある状態といえます。学校では、各種教員向けに時おり「多忙化解消アンケート」がされるのですが、その結果を見ると、特にC(やりたくないが仕方なくやっている)の割合が毎回相当程度いて、あまりいい状況とは言えません。

ちなみにこのC領域の教師は、部活動自体を否定しているのではなく、拘束時間の異常な長さなどに不満を持つ人を多く含む群ですが、たとえそうした不満があれど、残念ながら本人に「やる・やらない」の選択の余地はほとんどなく、決まり事です。

この現状をまず親御さんに知って欲しい。それがほとんどの現場の教員からのお願いであると私は感じています。