やっと合格した名門中学高校を“放校”になる生徒は少なくない。親の動揺は計り知れないが、見事再生に成功する親の5つの対策とは?

難関一貫校を追い出された子に親はどう接するべきか?

前回はせっかく入った中高一貫校なのにドロップアウトをしてしまう生徒のタイプを挙げてみた(「祝合格した難関校をドロップアウトする子と親の特徴5」http://president.jp/articles/-/21162)。今回はそういう事態に追い込まれた時に親が「対策」として講じるべきポイントを挙げてみたい。

過去、中高一貫校から事実上、追い出された子どもたちをたくさん見てきたが、そんな一大事から10年ほど経った後、そうした子たちの立ち位置はどうなるか。ふたつのパターンに分類されるように感じている。

・すなわち自分の人生を楽しめている子たち
・いまだ挫折感の中にいて社会に出ることができないでいる子

この2パターンに分かれるのだ。

その違いは親の考え方、そして行動によるものが大きい、と私は思う。かように親は子どもに良くも悪くも強烈な影響を与えてしまうものなのだ。

憧れの中高一貫校からの放校は親にしても大いなる挫折感を伴うものだが、この時に親が子どもよりも先に意識改革を行うことができるかどうかで全てが決まってしまう。それでは、どういう親だと「無気力化した子」が再び立ち上がるようになるのかを5つ挙げたい。

▼「無気力化した子」を見事再生させる親の共通点1
【自分の価値観だけが常に正しいと思い込まない】

今やノーベル賞作家であるボブ・ディラン。彼の有名な歌の中に『時代は変わる』(THE TIMES THEY ARE A-CHANGIN')がある。その中にこんなような意味のフレーズが出てくる。

「国中の父親よ母親よ、自分が理解できないからって子どもを非難するな」

こうした状況は、とりわけ親自身が真面目で勤勉であるほど陥りやすい。自分の子が「嫌だ」または「めんどう」という理由でやるべきことを放置し、さらにサボることに対し何とも思わないということが到底理解できないで悩み、そして子どもを責め続けるのだ。

私に言わせれば、それは子どもが「何とも思わない」のではなく「思わないフリ」をしなければ、立っていられないほど世の中全てから追い込まれて、フリーズしている状態なのだ。

これを責めても何の解決にもならない。それどころか我が子は親の支配から逃れることだけを願い、しかし現実には親の庇護がなければ生きられないという矛盾に接し、自分の人生に「無関心」という体を装い対抗してくるだろう。

ボブ・ディランはこう続けている。

「手を貸してやれないなら、邪魔をするな。時代は変わっていく」と。

思春期を責めることや説教は「邪魔」にしかならないことをまず親自身が学ぶことが第一段階ではかなり重要なことになる。