日本は「世界一長く部活する国」
夏休みの最中ですが、部活動に励んでいる中高生が多いことと思います。何かに打ち込むことは人間形成にも好ましい影響を及ぼすし、よからぬことをするヒマもなくなるということで、部活は多くの学校で重視されています。
もう四半世紀も前ですが、私の中学校では部活は必修でした(男子はできるだけ運動部)。部活は、正規のカリキュラムの外にある「課外活動(extracurricular activities)」という位置づけですが、全生徒にそれを課している学校も少なくないでしょう。
しかるに近年、部活の影の側面が認識されるようになってきました。活動が過重ではないかと。昨年の夏に、ベネッセが中高生の保護者を対象に実施した調査によると、夏休みの運動部の活動日数は「ほぼ毎日」という回答が4割だったそうです(週3~5日は3割)。また保護者の4割が、わが子の部活の活動日数は「多すぎる」ないしは「やや多い」と答えたとのこと。
度の過ぎた「しごき」も問題化しています。2013年の初頭、大阪府の公立高校で、バスケ部の顧問教員の体罰を苦に生徒が自殺する事件が起きたのは、記憶に新しいところです。
部活は生徒だけでなく、教員にとっても重荷になっています。平日の放課後はもちろん、休日も指導や引率をしないといけないのですから。日本の教員の長時間労働はよく知られていますが、部活指導がその原因となっていることは否めません。
OECDの国際教員調査(TALIS 2013)によると、わが国の中学校教員の平均勤務時間(週間)は53.9時間で、そのうち課外活動指導時間が7.7時間となっています。部活指導が勤務全体に占める割合は14.2%、およそ7分の1です。
われわれの感覚からすると「そんなものだろう」ですが、これは国際的にみると特異です。それをグラフでみてみましょう。横軸に総勤務時間、縦軸に課外活動指導時間をとった座標上に34か国を配置すると、図1のようになります。
日本は、右上の外れた位置にあります。総勤務時間もトップですが、部活指導時間は群を抜いて長い。課外活動の指導時間は週1~2時間という国がほとんどで、フィンランドやスウェーデンといった北欧国ではほぼゼロです。これらの国では学校での「部活」という概念がなく、この種の活動は地域のスポーツクラブなどに委ねられています。