「部活はブラック企業に通じる学校」
しかるに注意しないといけないのは、この外部スタッフの意識です。部活動指導員に充てられる人材の多くは、民間でのスポーツ指導の経験者でしょうが、スパルタ的な意識を持っている人も少なくありません。
神奈川県が中高の運動部顧問に対して行った意識調査によると、「スポ根」的な考え方は、教員よりも外部指導員で高くなっています(図3)。「休みの期間を設けることは必要」という回答の割合は、教員では31.8%ですが、外部指導員では12.3%です。
学校に「外」の風を入れるのは結構ですが、学校の内部ではあくまで「教育」の論理が貫徹されねばなりません。学習指導要領でも、部活動の指導に際しては勝利至上主義に陥ってはならないこと、「休養日や活動時間を適切に設定するなど生徒のバランスのとれた生活や成長に配慮」することの必要性がいわれています。外部からの新参者に対しては、教育機関としての学校内部の指導原則を知ってもらうための研修も必要と思われます。
部活は、規律ある集団行動の精神を生徒に体得させるなど、好ましい教育効果を持っています。日本企業の高いパフォーマンスを支える人材を供給する機能も果たしています。
しかし見方を変えると、滅私奉公のブラック労働も厭わない人間を大量生産しているともいえます。ブラック企業は、体育会系の学生を好んで採るといいますしね。ある方がツイッターで「部活はブラック企業に通じる学校」とつぶやいていましたが、そういう面は否めません。
部活を全廃しろとはいいませんが、活動を節度あるものにする必要はあります。そのことは、ブラック労働という、わが国に長年はびこっている病理の克服にもつながるのではないでしょうか。
(図版=舞田敏彦)