小学生の虫歯率 実は減っている
「子どもと虫歯」というのは切っても切れない「カレーライスと福神漬け」のような間柄にあります。少年漫画のお決まりのシーンは歯医者で子どもが泣き叫ぶシーンですし、学校の保健室で目にするのは虫歯予防のポスターです。
当然といえばそうで、いつの時代でも子どもは甘い菓子類を好み、食後や就寝前の歯磨きは億劫がってなかなかしません(個人差はありますが)。子ども期に虫歯を経験しない人などほぼ皆無ではないでしょうか。
しかるに、時代による変化はあるでしょう。
虫歯のある子どもの率はどう変わってきたか。文科省の『学校保健統計調査』のデータにて、戦後初期から現在までの推移を跡付けることができます。図1は小学生のグラフです。
現在は官庁統計がネットにアップされているので、こういうグラフも自前ですぐに作れます。私が学生の頃は、図書館で冊子の資料をくくり該当箇所のコピーをとり、さらにデータを手入力しないといけませんでした。いやはや、便利になったものです。
グラフには、未処置の虫歯がある児童の割合のカーブが描かれています。学校の歯科健診で「すぐに歯医者さんに行きなさい」と言われた児童が何%かです。
1950(昭和25)年では4割ほどでしたが、その後、急上昇し60~70年代にかけて8割前後の高い水準で推移します。高度経済成長期に入り甘い菓子類(チョコなど)が出回り始めると、それまでお腹をすかせていた子どもたちは貪るようにそれを食したことでしょう。
その一方で、当時は歯科医師の数は多くありませんでした。厚労省の統計によると1955(昭和30)年の歯科医師数は3万1109人(年少人口1万人あたり10.4人)でした。都市と農村の格差が大きかった頃ですが、常駐の歯科医師がいない地域も珍しくなかったと思われます。