教員の病気離職は、小・中・高とも「過去最多」
現在は、教職受難の時代といわれます。
忙しい仕事(多くは授業以外の雑務)、変わり果てた生徒や保護者への対応……。今、学校のセンセイが大変な状況にあることは、誰もが知っていることでしょう。
精神を病んで休職する教員も増えています。
公立学校教員の精神疾患休職者は1990年度では1017人でしたが、2014年度では5045人、5倍近くに膨れ上がっています(文部科学省調べ)。在職の教員数は減っていますから、精神疾患休職者の出現率は増えていることになります。東京のような大都市では、この傾向がもっと顕著です。
これは新聞などでもよく報じられますが、教員の危機状況を可視化する指標(measure)がもう1つあります。病気離職率です。文科省が3年おきに実施している『学校教員統計調査』では、調査年の前年度間の病気離職者数(精神疾患も含む)が集計されています。これを本務教員数で除せば、病気離職率を出すことができます。
この指標は70年代末まで遡ることができ、精神疾患休職率よりも長期的なスパンでの観察が可能です。学校種別や年齢層別の数値も計算でき、どの層(部分)が病んでいるのかを知ることもできます。こういうデータはまだ出されていないようですので、それをご覧に入れようと思います。
図1は、公立学校教員の病気離職率(本務教員1万人あたりの病気離職者数)の推移です。小・中・高等学校の3本のカーブが描かれています。
80年代では、中学校教員の病気離職率が高かったようです。『金八先生』が放映されていた頃で、全国的に学校(とくに中学校)が荒れていた時代です。校内暴力の発生件数も、現在の比ではありませんでした。当時の中学校教員の離職率が高かったというのは、肯けます。
その後、反抗を力で抑えつける方針がとられ、学校の荒れは沈静化します(代わって、生徒間のいじめが深刻化するのですが)。そのためかはわかりませんが、教員の病気離職率は低下し、前世紀の末にはボトムとなります。
しかし、今世紀になるや病気離職率は上昇に転じ、近年はどの校種も過去最高となっています。