先輩に助けを求めても「バイトじゃねえぞ」

2004年に、静岡県磐田市の小学校で新人女性教員(24歳)が自殺する事件がありました。

原因は、学級で続発する諸問題への孤軍奮闘による鬱だったそうですが、先輩に助けを求めても「バイトじゃねえぞ、まじめにやれ」とどやされただけ。全国の学校が似たような状況だとしたら、空恐ろしい思いがします。

その一方で、上の世代は若手に各種の雑務を押し付けてくる。2013年の国際教員調査(TALIS 2013)で、日本の中学校教員は世界一働いていることが分かったのですが、年齢層別にみると勤務時間が長いのは若年層です(図2)。

20代の若手の6割以上が、週60時間以上働いています。最近取り沙汰されている「部活」の指導時間も、若手ほど長くなっています。近年は、人口と同じく教員の年齢構成も逆ピラミッド型なのですが、少数の若手に圧力がかかる構造になっているともいえるでしょう。

なるほど、若年教員の病気離職率が高いというのも肯けます。(量的に多い)上の世代が若手のサポート資源ではなく重荷になっている状況ですが、これを是正する必要があります。それは、社会全体についてもいえることです。

以上、病気離職率を指標として、教員の危機状況を可視化してみました。

問題の根底には、やはり多忙(過労)があると思います。このほど、「チーム学校」という外部人材組織を学校に入れ、教員の負担の緩和が図られることになりました。日本の教員は、授業以外の雑務や部活指導なども担う「何でも屋」のような扱いをされていますが、こうした現状が変わることが望まれます。これを機に、教員の職務(専門性)とは何かという問題を真剣に議論すべきでしょう。

(図版=舞田敏彦)
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