現地企業との「組み方」が日本と海外では大違い

アライアンスによってビジネスにどんな変化が起きたか。わかりやすく説明すればこうだ。

今の世界のビジネス手法は、作る人・売る人という区分けはなくなりつつある。法人ビジネスも、ネットで販売インフラが作られるようになってからは、紹介や問い合せがあらゆる方面から入るようになった。それに伴い、販売先からの見返りはコミッションというより、「いっしょにビジネスでつながる、次の仕事でつながる」というフレキシブルな考え方の展開に変わっているのだ。

特にアメリカ南北大陸の市場では、受注ルートに「技術コンサル」(技術企画構想から部材調達、スケジュール&収益管理まで行う専門サービス業)という別建ての機能が絡むことが多いため、彼らのあまたとビジネスがフレキシブルに組めるよう、あえて“ユルイ”体制にしておかないと商売は広がっていかない(図解参照)。

南北アメリカ大陸の社会インフラ事業構造

その代わり、戦略的パートナーというコアのアライアンスが重要視されるようになり、米国やEUの大手企業では、どのような分野や領域で、どのレベルの最強パートナーと手を組むかが経営手腕となっている。

例えば、米国ではインフラ事業(電力、鉄道、上下水道、道路交通など)なら地域別・分野別にアライアンスが組まれる。カリフォルニア州水分野のインフラ事業では、CH2M、CDMSmith、Black&Veatch、といった大手技術コンサルの社名がコンペではよく出てくる。この動きやモデルはアジア市場にも進出し、日本企業の牙城にも切り込んでいて、何年も前からアライアンス包囲網の中で日本メーカーは苦戦を強いられている。

苦戦する日本企業。機械業界を例にあげて説明しよう。

日本国内では作る側の領域でも、部品サプライヤーのアライアンスがほとんど国内にある。例外は自動車業界だけで、他は部品サプライヤーと共に海外展開するモデルにはなっていない。昨今、海外市場では、「IHI」社がトルコで橋の施工トラブル(部品材料の欠陥が原因とされる)が発生し納期遅延を出した(2016.6に開通。世界4位の長さのイズミット湾横断橋)。

また、「日本車輌製造USA」社(国内では新幹線やリニアモーターカーなど鉄道車両をてがける老舗メーカーの米国法人)ではアムトラック向けの列車製造で国内製部品から米国内での現地部材調達が大幅に遅れたことがある。こうした重工業系では「部材調達」と「職人の段取り」が原因で品質トラブルが起きたとの報道をしばしば聞く。