孫正義氏がこれまでに経験したタフな場面をケーススタディの形で完全再現。
あなたは正しい判断を下せるだろうか。
Q. 海外進出は自前で展開するべきか
孫正義は43歳だった1999年にアジアで一番の資産家になる。しかし、そこで気を緩めないのが孫。日本より大きい市場を持つ中国など、海外進出へ意欲を見せる。そこで選択。A案は、海外進出はあくまで純血主義で。B案は、海外のパートナーとの共同作業で時間を節約。【A】自前で展開する【B】現地企業と手を組む
(正答率90%)
人口が減少する日本を飛び出して海外へ進出する。その際、「100%自前」で展開するか、もしくは現地のパートナーと組む戦略でいくか。どちらが得策でしょうか。
日本の大企業は前者が多い。トヨタもホンダもソニーも。マイクロソフトやアップル、シスコシステムズといった外資系企業でも99%は自前主義です。ソフトバンクぐらいです、いまだに「パートナー」と言っているのは。
我々はレアケースですが、今後も海外ではパートナー戦略中心でやっていきたい。もちろん日本国内でもパートナー戦略のほうがベターな場合は積極的に組みます。中核的事業であるブロードバンドや携帯電話を除いてですが。
ソフトバンクがパートナーを組んだ外国企業の筆頭に挙げられるのが中国の「Alibaba 阿里巴巴(アリババ・ドット・コム)」です。ネット上に大規模なビジネス交流サイトを目指す、日中貿易の企業間取引ポータルサイトは、有望なモデルとして注目されました。
CEOのジャック・マー(馬雲)とは2000年冬に初めて会いました。その目は若い頃に会ったスティーブ・ジョブズやビル・ゲイツと同じ輝きをしていました。「すぐ出資させてほしい」と約20億円を出資しました。
その3年後に再会したときには、BtoBだけでなく、BtoCやCtoCのビジネスを中国国内で始めることをすすめ、03年には「淘宝網」(タオバオ)を設立し、ショッピング・オークションサイトサービスの「タオバオ・ドット・コム」がスタートしました。これは僕から提案した案件で、その資金はソフトバンクが100%提供して、彼らが運営する形になりました。